今夜_私はデートする_2

適当にスワイプしてマッチした男性とのデートが予想以上にやばかった話

記念すべき第1回目。恋の恋におけるショック療法第1回目。

私は恵比寿にいた。

自慢のFカップがちょっと強調されるぴったりとしたカットソーを着て、赤いリップをひいていた。

前回の記事いざ始動!マッチングアプリで失恋沼から脱出なるか!?

せっかく出会うのなら、こっちも毎度本気で行きたいと思っていた。

マッチした相手は30代後半の業界人(芸能やマスメディア関連の仕事をしている人は、なぜか自分のことをこう呼ぶようだ)

お店は恵比寿の焼肉店だった。

これからキティちゃん並にいろんな男とコラボするのだから、その先に続くかどうかは会ってからの選別が大事だ。

私はスーパーマリオばりのチェックポイントを用意した。

私的譲れない二つのポイント

まず、時間が守れるかどうか。

時間に遅れる男は本当に論外だ。

仕事が前に入っているのなら、余裕を持った時間を設定するか、別日を提示するべきである。

この意見を主張すると、たまに「いや、仕事だから仕方ないじゃんw」という男がいるが、それ、佐々木希の前でも言えんのかよお前。

無論、わたしは佐々木希でもないし橋本環奈でもないが、カップルというものは、お互いの一番の存在になることだと思っている。

その土俵にすら立たせてもらえない男はこちらから省かせてもらう。失敬。

彼は、案の定遅刻した。

残念。マイナスからのスタートである。

次に見るのが、歩く速さ。わたしは生粋のヒール愛用者なので、いつも11センチほどのヒールを履いているのだが、そうすると当然歩くスピードは男の0.7倍くらいになる。(そもそも女性は男よりも歩くのが遅いのだが…)

初対面であったのにもかかわらず、相手を置いてズンズン先へ進む男は論外だ。

それが許されるのは、わたしの生命を絶対的に案じてくれるジャックバウアーか、洞窟を探検するニコラスケイジくらいである。

なにも話してくれない...これは脈なし??

駅からお店に歩く途中、あまりにも何も言わないのでこちらから話しかけた。

「このアプリ、何回くらい使用してられるんですか?」

彼は振り返らずに言った。

「3回くらいかな」

ほぉ。3回。まずまず。

「どうでした?」

自然な感じで問う。ぶっちゃけ聞かなくても答えはわかっている。

「みんな続かないんだよね」

でしょうね。

だって、もうマイナス。とてもマイナスからのスタートだもん。

でも大丈夫。わたしはFカップ界のガンジーと呼ばれたナオンである。安心してほしい。めちゃくちゃ寛容だ。不可触民との生活には慣れている。

そんなことを考えながら顔を上げると、隣に彼がいない。知らぬ間に10m先に彼がいた。

思わず笑みがこぼれる。

あぁきっとこの人、今までずっとこうやってきたんだろうな。当然、続かないわけだ。そしてこの先も彼はそれを繰り返すのだろう。

お店は綺麗で、店員さんがお肉を焼いてくれたのも嬉しかった。

本当に美味しかった。

冗談抜きに。あぁやっぱり、焼肉は最高だ。

彼と会って、恋には落ちなかったけれど頰は落ちた。

マジで興味なさそう5秒前(MK5)

お肉に集中している絶妙なタイミングで、「どういう仕事をしているの?」と聞かれた。

あぁやっときた。

さっきから、わたしが100%疑問をぶつける大学受験生もびっくりの一問一答スタイルだったが、やっと初めて疑問を持たれた。おせぇよ。

「飲食店員です」

おっと、お肉に気を取られすぎて適当なことを言ってしまった。

「へぇ~。」

それだけかいっ!!!

もっと興味を持って欲しかった。私がどうやって生きてきたのかとか、どうやって生きているのかとか、何を考えて、何を軸としているのか。そんなヘビーな話じゃなくたっていい。それでも、少しくらいは私に興味を持ってくれてもいいじゃないか。

どうしたって彼がわたしに興味を持っていないのは一目瞭然であった。

もしかするとわたしのあまりの美貌と輝きににキョドッていただけかもしれないが、彼は、本当にわたしに興味がなさそうだった。

残念。

それならば仕方がない。女は、自分に興味を持たない男に興味を持たない。

二軒目はないな。

すぐさま頭を切り替える。

颯爽と帰宅準備っ!お家に着くまでがデートです。

奢ってもらった引け目を感じて後々断りづらくなるのは勘弁だった。

お酒はあまり飲まないようにしておこう。料理もあまり食べないようにしておこう。

わたしがあまりにも食べないので、彼自身もあまり食べられず物足りなさそうな顔をしていたが、ごめん。家に帰ってカップ麺でもすすってくれ。わたしはもうお腹いっぱいなのだ。お肉も。あなたも。

トータル1時間もいなかったかもしれない。

「そろそろ行きましょうか」

声をかける。

ごめん。あなたは悪くない。悪いのは、そこそこに男慣れしすぎた私だ。

もちろん、というべきか、ありがたく、というべきか、お会計は彼が払ってくれた。

「ごちそうさまでした」

笑顔でそういうと彼も嬉しそうに笑ってくれた。あぁ、笑うと結構可愛いのね。

皮肉なことに、次はないと決めてから気づく相手のいいところ。

恋愛はタイミングが全てだ。一度ずれたタイミングを元に戻す気力も勇気も、私は10代に置いてきた。

ごめんなさい。

うまくいかなかった第一回。最初は誰だってうまくいかないよね。自分を言い聞かせる。

善きことは、カタツムリの速度で動く。とガンジーも言っていた。

どうか、幸せになってください。

私じゃない、誰かで。私じゃない、誰かと。次はきっとうまくいく。

最寄りの電車を降りる。

信じることこそが、第一歩だ。勇気付けるかのように、生ぬるい風が、そっと私の背中を押した。

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