ついに現れた...!ランチデートした完璧男が唯一抱えていた地雷とは?
疲れていた。とても、疲れていた。
秋はとっくに過ぎ去っていて、冬を迎えていた。今年の冬はエルニーニョ現象のせいで暖かいらしい。余計なことをしやがって、と思う。
寒くない冬なんて、プレゼントがない誕生日と一緒だ。もしくは具が入ってないお雑煮、つぶあんだと思っていたらこしあんだった時の大福。
なんの魅力もないじゃないか。
過去の3回のデートはどれもうまくいっていなかった。
前回の記事:モテ期到来?!トラットリアコダマで初めて同年代男性とマッチ
きっと私側の問題も大きいと思う。2回目のデートの打診をされた時に、思わず断ってしまうのだ。
やっぱり忘れられない春の恋
春に恋をしていた時の自分はとても輝いていて、舞い落ちる桜を生きた目で眺めていたことを覚えている。恋をすると世界が変わるというのは本当で、その春の桜は今まで見て来た中で一番綺麗な桜だった。
でも綺麗なのは一瞬で、そのあと散った花びらは踏まれて茶色くなって、私の恋も終わったんだと思わされた。
もう二度と、あんな気持ちで誰かに恋をすることはできないのだろうか。あんな気持ちで、春を迎えることはできないのだろうか。
そんな時に、突然のスペシャルリクエストが...!
惰性でひたすらスワイプしていたある日、スペシャルリクエストが送られてきた。
え、スペシャルリクエストなんて...珍しい....。
スペシャルリクエストは、コインを払った人からしか送られてこないはず。なんだろうと思ってプロフィールを見てみると、一回り以上年上のメディア関係の仕事についている男性だった。
スペシャルリクエストの一言は「一目惚れしました!」。まじかよ...確かに私の写真はめっちゃ盛れてるやつ選んでるけどさ...。
プロフィールは結構真剣に書き込んでいるつもりだ。でも、私の経歴や仕事、人柄関係なしに、”見た目だけ”でリクエストを送られて来ると少し困ってしまう。応えられる自信がないのだ。
まあでもいっか、大事なのは勢いだ。多動力が大事ってこの間読んだ本にも書いてあったし?と思って私は承認ボタンを勢いよく押した。
デートは、初めてのランチデートだった。
相手が指定して来た日程が全て昼間だったのだ。珍しいなと思うと同時に、どっちだろう、と勘ぐってしまう。
パターンは2つ。『健全にお昼のデートを楽しみたい』か『デート代をなるだけ負担せずに相手の様子を見たい』か。
前者だったらいいなあ。後者でもまあいいか。私も相手の様子見たいし?高い料理奢ってもらうのに二度目がないなんて申し訳なく思ってしまうくらいにはまだまだお子様だし。
とりあえず、白いコートを羽織る。初めての印象は明るいほうがいいはず、と非モテ女子ながらの必死のアピールをしている自分、ちょっと可愛い。
うわー、まさかの”アリよりのアリ”だ、この人!!
「はじめまして」
かなり価格帯が安いカフェだったが、さすがDine、めちゃくちゃお洒落な内観でテンションが一気に上がる。
「はじめまして。今日は、わざわざ来てくださってありがとうございます」
目の前の彼は優しく微笑みながらそう言った。
きちんとしたスーツに身を包んだ清潔感あふれる男の人で、写真の10倍はいい。これだから!女性は男性を写真で選んではダメなんだよ。と誰かに伝えたくなってしまうくらい、素敵な男性が目の前に立っていた。
「出身が一緒だったのとプロフィールを見て興味をもって、ぜひ一度お会いして見たかったんです」
コーヒーを飲みながら、そう告げられる。嬉しい言葉に頬が緩んだ。
一回り以上年上だったが、身だしなみをきちっとしているせいかだいぶ若く見えたし、落ち着いた雰囲気がとても素敵だな、と思った。
この人と付き合ったらどうなるんだろう、とっさに想像力を膨らませてしまう。
年収は文句なし、むしろありすぎるくらい。住んでいるところは港区の超高級タワーマンション。年の差恋愛だから土俵が違いすぎて喧嘩もきっと起こらないだろう。かっこいい。スタイルもいい。生え際も後退していない。むしろ彼の生き方はきっと前衛的だ。
あれ、じゃあなんで恋人いないんだ...?
この人の地雷は一体どこだ。今見えてないところにきっとあるはず。もし、地雷がないんだと言うのなら、あまりにも完璧すぎる。
シャネルは、「出かける前に、何かひとつ外したらあなたの美しさは完璧になる」と言っていて、私はその言葉がとても好きだった。完璧とは、不完全であることと同義だと思う。AIが、人間の魅力を超えられない点は、きっとそこにあるのだ。人間は、不完全さを身につけているからこそ魅力があるのだと思う。
やっぱり本当に年上がすき
前回会った人が、年齢が近い男の人だったからかもしれないが、今回彼と会って私は改めて本当に年上が好きなんだな、と実感した。
ちょっと脂が乗った肌とか、笑った時の目の横の皺とか、そういうのをなぜか愛してしまうのだ。
もちろんそんなことを伝えると引かれてしまうので口には出さないが。
「前の彼女とはどうして別れたんですか?」
と単純な興味で聞いてみる。
「実は、同棲までしていたんだけれど、彼女がちょっとパリピすぎて...」
神妙な顔をしてそう伝えられて、思わず笑ってしまった。
失礼だけれど、いい歳をした男の人が、今時の「パリピ」と言う言葉を出してきたアンバランスさがちょっと面白かったのだ。
(え、なになに、彼女tik tokでもやってたの?笑)と言いたくなる気持ちを必死に抑え、「パリピって、どう言うことですか?」と神妙な顔をして聞く。こういう時、本当に女は女優だ。
「女医だったんだけれどね、俺が深夜に帰宅したら、勝手に男友達を家に入れてEDMをガンガンに流して酒片手に踊ってたんだ」
と、もっと神妙な顔をして言われて思わず吹き出しそうになった。
心の中では(いやいやいや、元カノのキャラ強すぎんだろwwww勝てる気がしねえwwww)というツッコミが止まらない。
私はきっと、つまらない女?
その女を一度でも愛していたような男にとって、多分私はつまらない女だろうな、と思った。
経歴的にも経済的にも決して対等には並べないレベルだし、そもそも酒より煙草の方が好きだし、EDMよりインストが好きだ。
悩ましい。
今までのデートとは違って、初めて「私は全然ありだけど、きっと向こうにとって自分は全然足りないんだろうな」と言う感覚に陥った。
どう考えても全然足りないのに、なぜか彼は私を気に入ったようでその場で次のデートの日程を抑えられた。Dineでデートしてから初めてのことだった。
「せっかくだからアプリに掲載されているお店に行こう」と言うことで、恵比寿のお店を予約する。
次はディナーだったことで、あぁこの人のガードを一つ越えたのだなと実感する。実感するが、おそらく、彼は、騙されている。私の若さとか、勢いとか、そういうものに。その点が、すごく不安だ。もう私は、若さを消費したくないのだ。搾取されたくもない。
「じゃあ、次の水曜日ね」
と彼は手を振りながらタクシーに乗り込んだ。
はぁ...どこまでもスマートな男。
マジで私じゃ物足りないだろうなぁ。と考えると同時に、いやいや多動力、多動力。と言い聞かせている自分もいる。とりあえず、次の水曜日また会ってみよう。難しいことは後で考えればいいじゃない、って若さゆえの勢いで、ちょっと早めに駅に向かって歩いた。
今年のクリスマスは、誰かのために何かを買えるのかな。買えたらいいな。
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