アプリで出会うなんて、Dineをはじめるまでは恥ずかしいと思っていた
夏、なつ、平成最後の夏、終わりの夏。
私は人生のどん底にいた。
失恋したのだ。
馬鹿な恋愛をしていた。住んでる場所も、会社名も知らない男に。
会うたびにホテルに行くような関係に疑問を持ちつつも「好きだから仕方がない」と女特有の割り切りの良さを発揮し、ダラダラと続いていた関係だった。
彼の口から言わせれば、私たちはきっと「一応付き合っていた」のだと思う。
しかし、連絡頻度はどんどん減って行って、もうホテルにすら誘われなくなり、最終的には既読無視で終わった。
馬鹿な恋愛だったと自分でも自覚している。
でも、恋愛っていうのは交通事故みたいなもんで、いざ自分が真正面から衝突するとどうにもこうにも避けられない。
びっくりするくらいの酒を毎晩飲み、煙草をはじめ、ひたすら忘れようと努力した。喪服のような服を着て彼のお葬式を装ってみたりもした。
それでも私の中の彼は消えてくれず、もう無理、恋を忘れるには新しい恋をしなくてはならないのではと思っていたところだった。
マッチングアプリDineとの出会い
私が自分の恋愛事情をダラダラとつぶやいているだけの、誰が見ているも分からないツイッターアカウントにある日広告が流れて来た。
「Dine、なんだろうこれ...面白そう」
今までマッチングアプリを使ったことはなかったが、周りの友達がやり込んでいた影響から知識だけはあった。好奇心でダウンロードする。
レストランデートをマッチング。控えめに言って最高じゃないか。
そういえば、美味しいご飯、ここ最近食べてないな。
目の前に置かれた買い置きの『サトウのごはん』の山を見てため息が出た。
ここ最近夜は篭りっきりだし、煙草にアルコールと不健康も極めている。
恋の病に薬なし。いや、例外はおそらく一つだけ存在する。
毒をもって毒を制す。
目には目を、歯には歯を、恋には恋を。
重い腰をゆっくりとあげる。
びっくり!止まらないリクエスト!
マッチングアプリのいいところは、手軽さと、手軽さゆえの気楽さだ。とりあえず登録してみると、来るわ来るわ。リクエストの嵐。
人口減少における2040年問題とかまじか?ってくらいリクエストがくる。
一瞬自分が橋本環奈になったのかと錯覚を起こすが、プロフィールには相変わらず私の冴えないセルフィーが載っていて現実を受け止める。
ネットの世界において、女は男に比べたら圧倒的にマイノリティーであるのだ。
リクエストをくれた相手のプロフィールを順番に見ていく。
会ってみようと思った。
止まっていても仕方がない。
見る前に跳べ、とどこかの偉い人も言っていた。
とりあえず空いている夜をひたすら初回アポで埋める。
プロフィール文が真っ白とか、本人の写真が載ってない場合を除き、ほとんどリクエストを「承認する」ボタンを押す。このマッチング相手の選ばなさは、仕事相手を選ばないキティちゃんもびっくりだろう。
窓を開けて見ると、もうすっかり猛暑は過ぎていた。
蚊は40℃以上では生きられないと言うけれど、私の恋愛もあの猛暑は超えられなかったのかもしれない。蚊のように儚い時間だったなぁ。刺された瞬間よりも、痒みの方がずっと長引いてさ。
というのは、カッコつけすぎか。
と思いながら、私は、夜へ、一歩歩き出した。
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